2025年10月15日(水)、佐賀バルーナーズの地域貢献事業「SAGA Take Action」を推進する眞柴 啓輔さん(株式会社佐賀バルーナーズ DAO事業部チーフ)と、当法人代表理事の秋山 翔太郎が、佐賀県国際交流プラザを訪問。公益財団法人佐賀県国際交流協会の企画交流課長である矢冨 明徳さんと、スポーツを通じた多文化共生の可能性について意見交換を行いました。
この対話は、10月3日に開催された坂井英隆佐賀市長とのミニトークセッションで、矢冨さんが訴えた「生活者としての外国人」が直面する課題と共生の重要性に、秋山と眞柴さんが強く共感したことから実現しました。
SAGA Take Action
バルーナーズが目指す、本質的な社会課題解決
まず眞柴さんから、佐賀バルーナーズが新たに取り組む社会貢献プログラム「SAGA Take Action」の概要が説明されました。このプログラムは、単なる「CSR(企業の社会的責任)」活動ではなく、経済的な価値と社会的な価値を両立させる「共創価値(CSV)」の考え方に基づいています。スポンサーからの投資を、地域のNPOや専門機関と連携して社会課題解決に繋げる、持続可能なモデルを目指しています。
眞柴さんは、「クラブには外国籍選手も在籍しており、外国の方々との共生は重要なテーマです。しかし、これまで具体的な取り組み方が分からずにいました。本質的な課題解決に繋がるアクションを、地域の専門家である皆さんと一緒に創り上げていきたい」と、今回の訪問への期待を語りました。
この活動の推進力となっているのが、1,000人規模のメンバーが参加する「バルーナーズDAO」というコミュニティです。ファンだけでなく、当法人の秋山もモデレーターとして参画し、多様な視点から地域を盛り上げる仕組みづくりが進められています。


「困りごと」と「可能性」
佐賀で暮らす外国人のリアル。
次に矢冨さんから、佐賀県内で暮らす外国人住民の現状と課題が共有されました。現在、佐賀県には約1万人の外国人が暮らしており、そのうち約5,000人、実に半分が20代の若者です。 国籍はベトナム、インドネシア、ネパールなどが多く、技能実習生や特定技能者として食品加工や介護などの現場を支えています。
矢冨さんは、協会が担う3つの柱として「コミュニケーション支援」「生活支援」「多文化共生の地域づくり」を挙げました。 特に、行政手続きにおいて、言語の壁や制度の狭間で「たらい回し」にされてしまうケースが後を絶たない実情を説明。 「本来は市役所の窓口で解決できるはずのことが、私たちのところに回ってくる。もっと行政側がウェルカムな姿勢で受け入れる体制が必要です」と課題を指摘しました。
一方で、ゴミ出しのルールや騒音など、文化の違いから生じる地域住民との摩擦も存在します。 矢冨さんは、こうした課題の背景にあるのは「知らないことへの不安」だとし、相互理解を促進する地域づくりの重要性を強調しました。


連携のキーワードは「やさしい日本語」
意見交換の中で、連携の具体的なキーワードとして浮かび上がったのが「やさしい日本語」です。これは、阪神・淡路大震災の際に、災害情報が外国人に届きにくかった教訓から生まれた、相手に配慮した分かりやすい日本語表現のこと。 例えば、「高台に避難してください」を「高いところに逃げてください」と言い換えるなど、簡単な単語や短い文章で伝える工夫を指します。
連携アイデア
- 「やさしい日本語」講座の共同開催:バルーナーズDAOのメンバーや選手、ファンが「やさしい日本語」を学び、外国人住民と交流するワークショップを開催する。
- アリーナを多文化共生の拠点に:試合会場の案内表示に「やさしい日本語」やふりがなを追加する。
- イベントでの連携:佐賀県国際交流協会が開催する「日本語スピーチコンテスト」の優勝者を、バルーナーズの試合のハーフタイムで表彰・スピーチしてもらう。 国籍を問わず参加できるバスケットボールや、マレーシアとタイの国技で東南アジア各地に浸透する「セパタクロー」などの体験会をアリーナで実施する。
今回の意見交換は、プロスポーツクラブが持つ発信力とコミュニティ、そして国際交流の現場が持つ専門知識とネットワークが交わることで、多文化共生社会の実現に向けた新しいアクションが生まれる可能性に満ちたものとなりました。


結びに
「SAGA Take Action」が掲げる「みんながおとなりさん」というスローガンは、国籍や文化の違いを超えて、同じ地域に暮らす仲間として支え合う社会そのものです。 当法人も、両者の「翻訳者」として、この素晴らしい連携を力強く推進してまいります。
講座のご案内
佐賀バルーナーズの挑戦を、もっと深く知るチャンスです!
この記事でご紹介した、佐賀バルーナーズの新しい社会貢献のカタチ「SAGA Take Action」。その仕組みやビジョンについて、プロジェクトを牽引する眞柴 啓輔さんご本人から直接お話を伺う講座を当法人佐賀市市民活動プラザ事業部が開催します。
佐賀バルーナーズが仕掛ける新しい社会貢献
~DAOと共創価値で実現する地域アクション“SAGA Take Action”~
「世界一地域課題が集まるバスケクラブ」を目指すビジョンのもと、DAO(自律分散型組織)という仕組みをどう活用し、NPOや地域を巻き込んでいるのか。プロスポーツクラブが仕掛ける地方創生の最前線を知ることができる貴重な機会です。
- 日 時:2025年12月19日(金)19:00~21:00
- 会 場:佐賀市市民活動プラザ 7階会議室 & オンライン(Zoom)によるハイブリッド開催
- 講 師:眞柴 啓輔さん(株式会社佐賀バルーナーズ DAO事業部チーフ)
- 対 象:市民活動団体、学生、地域貢献に関心のある企業・個人の皆様
- 参加費: 無料
詳細は以下のリンクからご確認の上、ぜひお申し込みください。
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(CSO経営支援事業部)
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