2026年3月4日(水)、佐賀市市民活動プラザを拠点に子どもの学習支援などを行っている市民活動団体「greenbook(グリーンブック)」の立志式が開催されました。
この日は、当法人代表理事であり、佐賀市市民活動プラザ長も務める秋山翔太郎がゲストとして登壇。高校を卒業し、新たな道を歩み始める学生たちに向けて、自身のこれまでの歩みや、これからの人生を豊かにするためのメッセージをお伝えしました。


greenbookの温かな門出
佐賀市市民活動プラザなどで活動するgreenbookは、学習支援にとどまらず、子どもたちが夢に向けて考え行動する力を育む温かい居場所です。
今年の立志式では、見事全員が大学へ進学する6名の高校卒業生が主役でした。
代表の田中美智子さんは、「自分の意見をしっかり言えるようになり、他者のフォローもできるまでに成長した姿に胸が熱くなる」と目を細めます。さらに、「サポートしているつもりが、実は私たちの方が支えられている」「将来、病院でのお世話をお願いしたい」と冗談を交えるほど、学生たちとは強い絆と信頼関係で結ばれています。
夢に向かって悩みながらも力強く羽ばたいていく学生たちの温かな門出に、秋山も立ち会わせていただきました。
CSO(市民社会組織)とは
秋山の講演は、佐賀県CSO推進機構という少し聞き慣れない団体名や、「CSO(市民社会組織)」という言葉の説明から始まりました。
NPO法人だけでなく、PTAや自治会・まちづくり協議会、子ども会など、地域で活動する様々な団体を含めて、佐賀では広くCSOと呼んでいることを紹介し、greenbookもその大切な一つであることを伝えました。そして話題は、秋山自身の生い立ちへと移ります。


エンジニアを夢見た学生時代
「大学に入学した頃は、鉄道や車などの機械いじりが好きで、将来はそういう機械を設計するエンジニアになりたいと思っていました」
福岡から佐賀大学理工学部へ進学した秋山は、剣道部に所属し、有明海の海苔のアルバイトに精を出す、ごく普通の活発な大学生でした。
アルバイトで稼いだお金でバイクを買い、仲間たちと悠々自適な日々を過ごしていたと言います。
突然の事故と長い入院生活
しかし、大学5年目(留年後)、いよいよ研究室も決まり、就職や研究に向けて気持ちを新たにした矢先の4月、大きな交通事故に遭ってしまいます。
実はこれが3度目の交通事故であり、前回と同じ病院に運ばれるほどの重傷でした。そのまま10ヶ月間もの長い入院生活を余儀なくされることになったのです。

「最初は気持ちも塞ぎ込み、病院の天井ばかり見つめていました」と振り返る秋山ですが、この長い入院生活が、結果的に人生の大きな転機となります。

一期一会の出会いから得た気づき
病院という場所は、人の入れ替わりが激しい場所です。同室だった人が回復して退院していく姿を見送る中で、秋山の中に一つの思いが芽生えます。
「なんでこの人たちと一緒に過ごした証を残さなかったんだろう。退院していく人たちと、一緒に集合写真を撮りたい」
様々な事情を抱え、怪我をして入院してきた人たち。その人たちとの一期一会の出会いの大切さを痛感した秋山は、退院していく仲間たちを写真撮影と共に見送るようになりました。

市民活動(CSO)への第一歩
そして退院後。怪我の影響で足が不自由になった秋山にとって、歩くよりも自転車での移動が非常に楽でした。そこで、自身が得意だった機械いじりのスキルを活かし、大学構内に放置されている自転車を修理して、新入生に安く販売したり、レンタサイクルとして貸し出したりする活動を始めました。

これが、「チャリさがせい」という環境団体の立ち上げであり、秋山にとっての最初の市民活動(CSO)の第一歩となったのです。
エンジニアを夢見ていた青年が、予期せぬ事故をきっかけに、地域社会の課題解決へと向き合うようになった瞬間でした。その後、市民活動プラザでのアルバイトを経て、現在は組織の代表を務めるに至っています。

キャリアは偶然が8割
「何になりたいか」という暴力的な問い
講演の中盤、秋山は学生たちに「今、何になりたいですか?」と問いかけました。
「心理士になりたい」「歯科衛生士」「舞台監督」「教師」……学生たちからは、しっかりと前を見据えた頼もしい答えが返ってきました。
しかし秋山は、この「何になりたいか」という大人が子どもに投げかけがちな質問は、実はある種の「暴力的な問い」かもしれないと語ります。

まだ社会のほんの一部しか知らない子どもに対して、限られた選択肢の中から将来の職業を決めさせるようなプレッシャーを与えてしまう可能性があるからです。
夢通りの職業に就ける人はわずか2割
その上で秋山は、ある興味深い統計を紹介しました。
「実は、自分が最初になりたいと思っていた職業に就き、その通りに夢を実現できた人は、全体のたった2割しかいないと言われています。残りの8割の人たちは、当初思い描いていたのとは違う場所にたどり着いているんです」
秋山自身も、エンジニア志望から市民活動の支援者へと転身した、まさにその「8割」の一人です。しかし、今の仕事に誇りを持ち、幸せに生きていると胸を張ります。
計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)
この8割のキャリアを形成するもの、それは「偶然の出来事」です。アクシデントやトラブル、あるいは予期せぬ人との出会いなど、人生に起こる様々なハプニングが、実は大きな転機をもたらすのです。
ここで秋山は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」を紹介しました。
「偶然の出来事にただ流されるのではなく、その偶然を前向きに捉え、計画的に活用していくことで、より良いキャリア、より良い人生を築くことができるという考え方です」

自ら幸運を引き寄せる力
では、どのようにして偶然を味方につけ、幸運を引き寄せれば良いのでしょうか。秋山は、計画的偶発性を高めるための「5つのスキル(心構え)」について語りました。
1. 好奇心
「新しいことにチャレンジしたり、関心を持ったり、今目の前にあることだけでなく、別のことも勉強してみる。この好奇心を持つことがすべての始まりです」
2. 持続性
「勉強もそうですが、途中で投げ出さず、コツコツと続けていくこと。今やっていることが、後になって必ず自分の力になります。諦めずに挑戦し続けてください」
3. 柔軟性
「『絶対にこれにならないといけない』と固執しすぎると、もっと自分に合った活躍の場を見逃してしまうかもしれません。社会の状況や環境の変化を受け入れ、状況に応じて自分の考えを少し変えてみる柔軟性も大切です」
4. 楽観性
「失敗や困難、トラブルは誰の人生にもやってきます。でも、そんな状況に陥った時こそ、『これは自分にとってのチャンスだ』『成長するための試練だ』と前向きに捉えることが重要です」
5. 冒険心
「結果がどうなるかわからなくても、まずは自分でやってみる。無謀に思えることでも、一歩踏み出して挑戦することで、新しい出来事が生まれ、新しい人との関係性が築かれていきます」
秋山は、「良い出来事が向こうからやってくるのを待つのではなく、予期せぬ出来事を自分で良い出来事に変えていってほしい。そして、自分なりの幸せを見つけていってください」と力強くメッセージを送りました。


結びに
greenbookから巣立っていく6名の学生の皆さん、ご卒業そして大学進学、本当におめでとうございます。
これから始まる新しい生活の中では、きっと思い通りにいかないことや、予期せぬ壁にぶつかることもあるでしょう。しかし、そんな時こそ、greenbookで培った「考える力」や「仲間を思いやる心」、そして今回秋山が伝えた「偶然をチャンスに変える5つのスキル」を思い出してください。
どんな出来事も、皆さんの人生を豊かにする大切なピースになるはずです。もしも道に迷い、もがくことがあれば、田中代表が「必ずおいで」と仰っているように、いつでもgreenbookや佐賀市市民活動プラザに顔を出してください。私たちはいつでも、皆さんの挑戦を応援しています。
佐賀県CSO推進機構としても、greenbookのような素晴らしい活動を続けるCSOの皆様を、引き続きしっかりとサポートしてまいります。子どもたちが多様な大人と出会い、様々な経験を通じて未来を切り拓いていけるよう、地域全体で支え合う社会を創っていきたいと思います。
改めまして、立志式という素晴らしい場にお招きいただいたgreenbookの皆様、そして関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

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