2025年11月26日(水)、佐賀市市民活動プラザにて、「さがボノ」主催の定例イベント「ソーシャルウェンズデイ」が開催されました。
「さがボノ」は、佐賀県内におけるプロボノ(職業上のスキルや経験を活かした社会貢献活動)の普及啓発に取り組むチームです。
毎月第4水曜日に開催される本イベントは、単なる定例会にとどまりません。NPO・市民活動団体(CSO)、企業人、クリエイターなど、多様なセクターの人々が立場を超えて交流し、佐賀の社会課題解決に向けた「協働」を生み出す場として機能しています。
「さがボノ」が目指す協働社会
互いに高め合える「利他」と「利己」の好循環
冒頭では、「さがボノ」の活動理念について共有が行われました。
プロボノ活動の最大の特徴は、一方的な支援(利他)だけではなく、参加するワーカー自身にとっても「自己成長」や「社外ネットワークの拡大」、「貢献の実感」といったメリット(利己)がある点です。
「さがボノ」は、この双方にとってプラスとなる関係性を構築し、個人、企業、行政、教育機関、金融機関など、あらゆるセクターが立場を超えて協働する社会の実現を目指しています。
当日の参加者
当日は、「さがボノ」コーディネーターを務める佐賀県CSO推進機構 代表理事の秋山、ノルディックウォーキングSALCの松尾氏、認定NPO法人サービスグラントの横道氏が参加。
さらに、佐賀バルーナーズの眞柴氏も飛び込みで参加し、それぞれの専門性を活かした多角的な視点で活発な意見交換が行われました。


制度の狭間を「地域」全体で支える
ゲスト:SAGAこどもホスピス荒牧氏
今回の特別企画として、一般社団法人SAGAこどもホスピスの荒牧氏をゲストにお招きし、団体の活動現状や抱えている課題(ニーズ)について深掘りするヒアリングセッションを実施しました。
医療・福祉から「漏れている」子どもと家族への支援
荒牧氏が運営する「SAGAこどもホスピス」は、生命を脅かす病気や障害を持つ子どもたちだけでなく、その家族(きょうだい児含む)も丸ごと支える仕組みづくりを目指しています。
特に重視しているのは、既存の医療制度や障害福祉サービスの枠組みから「漏れてしまっている」子どもたちへの支援です。
荒牧氏は、「病気や障害があっても、地域の人たちとつながり、当たり前に生活できることが重要」と語ります。目指すのは、特別な施設の中だけで完結するのではなく、「地域の中で当たり前に声かけや見守りが生まれるような地域づくり」。
これは、こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現ともリンクする重要な取り組みです。
広報・資金調達の課題と地域連携
活動を継続・拡大する上での課題として、荒牧氏は「知ってもらうことが一丁目一番地」と強調されました。
現在、活動資金の多くを寄付で賄っており、預かり事業を担当する看護師への謝金捻出など、運営基盤の強化は急務です。広報やSNS活用の余地は大きく、プロボノワーカーの専門スキルが求められる領域でもあります。
一方で、新たな連携の芽も育っています。佐賀バルーナーズ(DAO)との連携を通じ、外出が困難なこどもや家族同士のつながりを創出したり、共同でのグッズ製作・資金調達活動を行ったりした事例も共有されました。
スポーツチームや地域コミュニティとの連携が、孤立を防ぐ大きな力となっています。


「欲しい」の先にある「真の課題」を見つける
参加団体によるプロボノ活用事例と今後の展望
後半では、実際にプロボノを活用している団体からの事例共有や、佐賀県内での普及に向けた具体的な議論が交わされました。
チラシ作成から広報戦略の再構築へ
ノルディックウォーキングSALC代表の松尾氏は、プロボノマッチングプラットフォーム「GRANT」のヘビーユーザーとしての体験談を発表しました。
松尾氏は当初、単に「イベントのチラシを作ってほしい」という要望を持っていました。しかし、マッチングしたプロボノワーカーからの提案は意外なものでした。
「チラシを作る前に、広報戦略そのものを勉強しましょう」
結果として、ブログの情報整理や広報の基礎学習に重点を置くことになり、団体の発信力自体が底上げされたといいます。
これは、プロボノが単なる「作業代行」ではないことを示しています。外部の視点が入ることで、団体自身が気づいていない「真の課題」を掘り下げ、本質的な解決策を提示する――これこそが、プロボノ協働の醍醐味です。


「社会参加オープナー」が拓く協働の入り口
議論の締めくくりとして、当法人の秋山がこれからの佐賀に不可欠な要素として挙げたのが「社会参加オープナー」の存在です。
社会参加オープナーとは、団体の中に眠る漠然とした「困りごと」を整理・言語化し、「情報発信」や「業務効率化」といったプロボノワーカーが着手可能なサイズの「プロジェクト」へと切り出す役割を担う人材を指します。
支援のミスマッチを防ぎ、協働の入り口を広げるこの役割を、佐賀県内でいかに増やしていくか。今後の「さがボノ」の活動における重要な焦点として共有されました。


結びに
「ソーシャルウェンズデイ」は、今後も毎月開催される定例会として、多様なセクターの参加と協働を促すハブとなってまいります。
隣の団体が何をしているのかという情報共有(シェア)や、互いの活動に刺激を受け合う場を設けることで、佐賀の地域社会における課題解決力の向上を目指します。
プロボノの活動は、都市部に集中しがちなスキルを持つ人材を、地域外からも巻き込む「関係人口の増加」に貢献します。佐賀から始まる新たな社会変革のモデルに、ぜひご注目ください。
お問い合わせ

さがボノ
(事務局:交流スペース 彩り)
- 〒849-3131 佐賀県唐津市厳木町厳木1018
- TEL:080-3216-1269
- E-mail:sagabono2025@gmail.com
- WEB:https://grant.community/sagabono
- Facebook:https://www.facebook.com/Saga.ProBono/
特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構
(CSO経営支援事業部)
- 〒840-0826 佐賀市白山二丁目1-12 佐賀商工ビル7階
- TEL:080-4282-8061(事業部用携帯)
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