2020年9月12日(土)、佐賀市市民活動プラザでは、NPO法人CRファクトリー 代表理事のを呉 哲煥(ご てつあき)さんを講師に、学生団体等NPOの代表を務める現役大学生3名をゲストスピーカーとしてお招きし、人材育成研修(整える力)「いまこそつむぐ、しなやかなチーム~これからのコミュニティマネジメント~」をリアル会場とオンラインのハイブリッド開催し、ゲスト含めて17名の方にご参加いただきました。
コロナ禍は、実に多くのことを私たちに教えてくれているように思います。「コミュニティの本質は『物理的に集合する』というところにはない」というのもそのひとつだと考えています。
確かに、集まれないことで活動が停滞し、資源調達が叶わなくなり、存続が危うくなっているNPOの話を、ここ数か月たくさん耳にしました。けれども、呉さんの講演をうかがって気づかされたのです――コミュニティに期待されるのは、活動すなわち「外部に対する働きかけ」だけではなく、緊急時にこそ発揮される「内部に対する支え合いの力」もそうなのではないかと。
現下、物理的に集合できなくても、オンライン上の空間に集合する技術があります。精神的に密なコミュニティであれば、オンライン上での集合は、むしろ新たな価値観と展望を与えてくれるものなのではないでしょうか。
その一方で、「外部に対する働きかけ」と「内部に対する支え合いの力」というのはコミュニティの両輪であり、どちらかが欠けると危機に瀕してしまうものなのだと、3名のスピーカのお話をうかがい、考えさせられました。
コミュニティの掲げる目的が、限りなくリアルでの接触に頼るものであった場合、このコロナ禍はコミュニティの存在意義を揺るがす脅威以外の何ものでもありません。
クリスマス・イブに向け「サンタを待っている子ども」と「サンタになる大人・企業」をつなげる活動を行う NPO法人 チャリティーサンタ 佐賀支部代表の皿屋 舞帆(さらや まほ)さんは、事例発表において今年度の活動についての不安を話され、呉さんより「全国団体の強みであるネットワークの活用」についてのアドバイスを受けていらっしゃいました。
また、メンバーの入れ替わりの激しい学生団体やそれに近い体制のコミュニティは、たとえオンライン上で内部のつながりを密にできても、活動の成果を発信できないと、新しいメンバーの獲得につなげることが難しくなります。
子どもたちに環境教育を行っている えこいく(佐賀環境フォーラム 環境教育班)代表の河村 光(かわむら ひかる)さんは、拠点としている佐賀大学の一時閉鎖によって活動がままならない状態に陥ると同時に社会人メンバーと隔てられ、オンラインでの活動を模索しながらも、新規メンバー獲得につなげられていない苦しい胸の内をお話くださいました。
一方、コロナ禍による大学閉鎖をきっかけに、学生支援を掲げて立ち上がった学生団体 げちでのたまご 発起人の宮崎 真優(みやざき まゆ)さんは、オンラインツールを活用した、正にウィズコロナの申し子というべき活動スタイルを発表されると同時に、現下における支援をアフターコロナにつなげるヴィジョンをお話しくださいました。
講師の呉さんは、この先2年はこの状態が続くであろうことを示唆されていました。個で生きるには困難な社会からコミュニティそのものがなくなることはないでしょう。しかし、今あるコミュニティは変容が必至であることを改めて実感しました。
呉さん、そして、若きリーダーの皆さん、ありがとうございました。
リアルとオンラインのハイブリッド集合写真 会場に集まっていただいた大学生の皆さん
――余談ですが、どこからでも参加できて思いのほか便利なように感じられるウェビナーことオンラインセミナーですが、電波の状態が悪いと大変な目に遭うことを、この研修で知りました。光回線本当に大事。