「めっちゃ遅くなってごめんね!」
慌てた様子で申し訳なさそうに待ち合わせ場所にやってきたその人の名前は 山田健一郎さん。
佐賀県内で市民活動をされている方ならば、佐賀県唯一の市民コミュニティ財団「公益財団法人佐賀未来創造基金」、通称「さがつく」の山田さんとしてご存知の方も少なくないのではないでしょうか。
寄付文化とボランティア活動の普及啓発を行い、集めた資源を市民活動に循環させる仕組みづくりに取り組む「さがつく」。
一方、同じく山田さんが代表を務める さが市民活動サポートセンター、通称「さがさぽ」は、「まちづくり」「子どもの健全育成」「災害支援」の3分野を柱とし、佐賀市の中心市街地を拠点に活動するテーマ型の特定非営利活動法人であると同時に、CSOに寄り添い、時に連携して「人づくり」「地域づくり」を支援する中間支援組織です。
佐賀県内における市民活動を両輪のように支える「さがつく」と「さがさぽ」。
特に「さがつく」は今や全国区となりつつあり、日頃から多忙を極められている山田さん。
ですが、この日は「さがさぽの山田さん」として、お話をうかがいました。
地域の課題解決は地域のなかで。そのために――
佐賀市唐人町。
飲食店、薬局、菓子店、ブティック、雑貨屋といった商店が並ぶ大通りから一歩入ると、クリークが流れ、閑静な住宅地が南北に続く、そんなまちなかにさがさぽの拠点はあります。
「たとえ小さくてもほっとけないことがあったら、まずは動いてみる」という山田さん。
そのため、さがさぽの係わる事業は、まちなかのエリアから外にはばたくかのように広く多岐にわたります。
「まちづくり」分野では、唐人町の自治会や商店街振興組合の事務局連携という地域に密着した事業から、佐賀市中心市街地基本計画並びに佐賀市中央大通り再生計画に基づく佐賀市中央大通りエリアマネジメント協議会や佐賀市中央大通り再生会議等への各種委員としての参画、他まちなかの空き家の活用を促進する助成事業の実施にクリークのワークショップ開催等々。
「子ども」分野では、月1回、コロナ禍の今は弁当配布を中心として実施している「佐賀こども食堂」。そして、「どんな境遇の子どもたちも見捨てない!」というスローガンのもとに設立された さが・こども未来応援プロジェクト実行委員会への構成団体としての参画。
「災害支援」分野では、佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)の賛同団体として県内外の被災地支援を実施。2016年の熊本地震では、SPFの前身「佐賀から元気を送ろうキャンペーン」でボランティアコーディネートを行われています。
また、さがさぽの一つの特徴として「課題解決の担い手が現れたら、応援に回り、その支援を行う」というのがあります。
地域課題とその解決をさがさぽだけで抱え込むのではなく、多様な団体と連携し、引き継ぎながら進めていく。
そして、その過程で地域に当事者意識を持つ人々を増やし、そのなかから地域の「担い手」になる人材を見つけ出して育て、地域のなかで課題解決ができるよう支援していく――それがさがさぽの目指す姿です。
そう、さがさぽは、地域のCSOに対し市民活動の助言を行うだけでなく、地域に暮らす人々とともに汗をかきながら実践し、地域の担い手と結ぶ中間支援組織でもあるのです。
鍵は「担い手」の発掘。
山田さん曰く、さがさぽの今の悩みは「『地域の担い手』となる人材になかなか出会えていないこと」。
担い手がいなければ、いつまで経っても地域の課題はさがさぽや連携する支援団体の手を離れていきません。
「最近は他の支援団体から『中間支援は大変』という話も聞く」と山田さん。
中間支援組織や支援者というのは縁の下の力持ちであるはずなのですが、不本意ながら支援の表舞台に立ち続けてしまうことにより、「何と何の間なのか」をロストしてしまうこともあるようです。
その解決は簡単ではありません。しかし、そんな状況でも地域の人々と一緒に「続けていくこと」が何よりの解決策だと山田さんは言います。
かたちを変え、方法を変えても、担い手に出会えるまで動き続ける。
諦めてしまったら、担い手と出会う芽も摘んでしまうことになります。
「さがさぽの活動がきっかけとなって担い手が現れ、それが推進力となって、地域の方々が自分たちの力で課題を乗り越えていくというその後押しになればと思っています」
好いとっけん すっよ。わたしから――今日もさがさぽは佐賀市の中心市街地で地域の課題解決のため、ひいては地域の人々のために活動しています。
特定非営利活動法人さが市民活動サポートセンター
さがCSOポータル > CSOデータベース
https://www.cso-portal.net/cso/detail.html?id=28