2025年7月2日、福岡市役所で開催された「伴走支援によるNPO支援業務」選定チームの第1回会議に、佐賀県CSO推進機構副代表理事の秋山翔太郎が出席しました。この事業は、人材育成、組織運営、財源確保、広報強化などに取り組むNPO法人に対し伴走支援を行うことで、その組織基盤強化を実現することを目的としています。
会議には、特定非営利活動法人九州コミュニティ研究所事務局長で福岡市NPO・ボランティア交流センター「あすみん」センター長の中村善輝氏、同法人の本事業メインディレクターである奥村貴仁氏、そして福岡市市民公益活動推進課職員2名が出席しました。


会議の主な焦点
テーマ別交流会と講師選定
第1回会議では、主にテーマ別交流会のテーマ設定と講師の選定が議論の焦点となりました。これは、NPO法人が組織基盤強化に必要な力を習得するための重要なプログラムであり、福岡市内の約600のNPO法人のうち、支援を必要とする8団体以上に対して伴走型支援を行うための入り口となります。
ニーズ調査の結果報告
会議では、本事業実施に先立ち、2025年6月18日から29日まで実施されたNPO法人向けアンケート調査の結果が報告されました。36件の回答に基づき、NPOが抱える主な課題が明らかになりました。
最も大きな課題と感じられているのは、以下の通りです:
- 人材の確保(職員・ボランティア):62.9%。
- 資金の確保(助成金・寄付など):57.1%。
- 情報発信・広報の手法および活動の認知度向上:いずれも31.4%。
個別課題としては、資金面で「助成金や補助金の獲得が難しい」(45.7%)、「寄付の集め方がわからない・集まらない」(42.9%)、人材面では「人材全体が不足している」(40.0%)、また「職員は確保できているが、ボランティアが不足している」(31.4%)といった声が多く聞かれました。さらに、「企画から実行までのプロセスが属人化している」(54.3%)という課題や、外部意見を取り入れる機会が少ないとの認識も示されました。
テーマ設定と講師選定に関する議論
秋山からの提案
ニーズ調査結果を踏まえ、テーマ別交流会のテーマと講師について活発な議論が行われました。秋山は、佐賀県CSO推進機構での経験に基づき、以下のような視点から意見を述べました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

中村氏が提起されたDXの導入について、秋山は、DXの導入がNPOの人材不足や資金課題の解消につながると強調しました。さらに時代に合わせた進化を遂げる上でDXが不可欠であると述べました。
佐賀県CSO推進機構では、無料で利用できるGoogleフォームといったICTツールや、Google NotebookLMといったAIツールを活用し、少人数で業務を効率化している事例を紹介。
特にGoogle NotebookLMについては、会議録作成や過去資料から必要な情報を検索・抽出するのに優れている点を説明しました。AI特有の「ハルシネーション(嘘を誠らしく言うこと)」という課題も、提供された情報源のみから回答を生成する機能で克服しているため、スタッフ間の知識共有や問い合わせ対応、資料検索の効率化を促進し、人員不足の課題を補完する役割も担っていると具体的に述べました。
講師としては、実践的なIT・DX体験会を行った経験のある専門家や、NPOの内部実践知を持つ人物が挙がりました。
組織運営・ガバナンス強化
NPOの内部課題として、理事会の機能不全や業務の属人化、事業承継の難しさが挙げられる中で、秋山は、佐賀のアンケート調査でも「後継者や人材育成の課題がお金を上回った」と述べ、内部の意思決定プロセスの改善の重要性を訴えました。
組織の活性度を分析し、団体ごとに必要な支援(長期ビジョンの共有、意思決定プロセスの改善など)を提案できる組織評価の専門家が評価されました。また、NPO法や定款の理解、会議体運営の効率化といった基礎的な組織運営について知見を持つ人物の貢献が示唆されました。
「ファンづくり」とマーケティング戦略

活動の持続性には「支援者集め」が不可欠であるとし、寄付者やボランティア、広報協力者といった「ファン」をどう獲得するかがテーマとして検討されました。
秋山は、オンラインとリアルの両面で、潜在的なファン層と接点をつくり、活動への関心を高め、参加者から拡散者(ファン)へとつなげる「マーケティングファネル」の概念が有効ではないかと提案しました。
自身の経験を通じてボランタリーな人々を巻き込み、組織を築いてきた実践的な知見を持つ人物が、NPOの組織づくりにおける示唆に富む講師として評価されました。
コミュニティマネジメント
NPOが直面する関係性の課題解決に貢献しうるとして、コミュニティ運営に関するセミナーも議論の対象となりました。
資金調達
助成金申請や寄付集めに関する具体的なアドバイスが求められる中、助成金申請書を事業計画策定のヒントとして活用すること、そのためにコミュニティ財団の関係者から知見を提供していただくこと提案しました。
今後のスケジュール
この選定チーム会議でテーマと講師が決定した「テーマ別交流会」は、8月末から10月末にかけ、5つのテーマで曜日・時間帯を変えて計10回開催されます。
その後、テーマ別交流会に参加したNPO法人の中から、8団体以上が伴走支援の対象として選定され、最適な伴走者とマッチングされます。伴走支援の選定は9月中旬と下旬に予定されており、参加団体は「アクションプランの策定」をミッションとして、組織基盤強化に取り組むことになります。
今回の選定チーム会議は、福岡市のNPOが直面する具体的な課題に対し、実践的かつ持続可能な支援を提供するための重要な第一歩となりました。
佐賀県CSO推進機構においても、本事業と同様のNPO組織強化を目的とした「CSOマネジメントアカデミー」に取り組んでいます。今回の経験を活かし、今後もNPO支援の取り組みを強化してまいります。今回の経験を活かし、今後もNPO支援の取り組みを一層強化してまいります。CSOマネジメントアカデミーの詳細については、以下のページをご覧ください。
お問い合わせ先
特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構
(CSO経営支援事業部)
- 〒840-0826 佐賀市白山二丁目1-12 佐賀商工ビル7階
- TEL:080-4282-8061(事業部用携帯)
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