2025年1月25日(土)、佐賀県CSO推進機構では、「2025CSO新春交流会」の第一部において、特定非営利活動法人つなぎレンガ座の宮近由紀子さんによる防災講演を実施しました。本記事では、宮近さんの貴重な講演内容を動画収録と文字起こしを行い、災害への備えと地域の絆の重要性について詳しくお伝えします。
宮近さんは、近年頻発する自然災害の現状を踏まえ、「日常の備えが命を守る」という重要なメッセージを参加した当法人役職員に伝えていただきました。能登半島地震や佐賀県の豪雨災害の実体験を通じて、災害時の支援の在り方や地域コミュニティの力について、具体的かつ示唆に富んだ講演を展開されました。
講演の主なポイントは以下の通りです:
- 災害には様々なフェーズがあり、復旧・復興には長い時間がかかること
- 外部支援が減少する中、地元の力が重要であること
- 平時からの情報収集と訓練の重要性
- 個人の備えと地域の繋がりの大切さ
以下に、宮近氏の講演をアーカイブ動画と文字起こしの要約でご紹介します。災害への備えを考える上で、貴重な示唆に満ちた講演内容をぜひご覧ください。
第一部 防災講演
防災講演「災害への備えを考える~今、私たちにできること、必要なこと~」
皆さま、おはようございます。本日は、防災をテーマにしたこのような場にお招きいただき、ありがとうございます。私たちが日常生活の中でどのように災害に備えられるか、そして、いざというときに何ができるのかを考えるきっかけとなる時間になればと思います。
災害対応の段階と支援の重要性
災害には「発生直後」「復旧」「復興」という段階があります。
- 発生直後:命を守るための救助活動や避難所運営が中心となります。
- 復旧:生活基盤を整え、被災者が日常生活に戻る準備を進めます。
- 復興:地域社会の再建や経済活動の再生が求められます。
これらの段階において、支援の形も変化します。特に、復興段階では被災者の心のケアや地域コミュニティの再生が重要です。


佐賀災害支援プラットフォームの活動
2019年に発足した佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)は、行政、社会福祉協議会、CSO団体などと連携し、災害時の支援体制を強化しています。特に、初動対応や物資の配布、ボランティアコーディネートの分野で重要な役割を果たしています。
SPFでは、一般ボランティアと専門性を持つプロボノの協力が鍵となっています。例えば、プロボノは重機の操作や家屋の修繕といった専門的な作業を担当します。これにより、支援活動の効率が大幅に向上します。


命を守る3つのS
防災の基本として「命を守る3つのS」(スイッチ、セーフ、セーブ)を覚えておいてください。
- Switch(スイッチ):非常事態に備え、自分の意識や行動を切り替えること。
- Safe(セーフ):安全を確保するための準備や行動。
- Save(セーブ):命を守るために必要な備蓄や支援を実践すること。
災害時には、これらの要素を実践することで被害を最小限に抑えることができます。日常生活の中で、この3つを意識した備えを進めることが重要です。


地域防災力の向上
災害時には、地域の防災力が試されます。外部支援に頼りすぎず、自立した支援体制を構築することが必要です。
- 普段からの地域のつながりを深める。
- 地域防災訓練に積極的に参加する。
- 地域での役割分担を明確にし、災害時に即応できる仕組みを整える。
これにより、地域全体で災害に強い体制を作ることができます。
平時からの備えの重要性
平時からの備えとして、以下のポイントを意識してみてください。
- 家族で避難経路や集合場所を確認する。
- 非常用持ち出し袋を準備し、定期的に中身をチェックする。
- 地域の防災訓練に参加し、避難所の場所や運営の仕組みを理解する。
特に、災害は夜間や悪天候時に発生する可能性もあります。暗闇の中で安全に避難するための懐中電灯や防寒対策も忘れずに準備しておきましょう。
防災グッズと個人的に必要なもの
防災グッズの準備は基本中の基本です。非常食、水、懐中電灯、モバイルバッテリーなどが必須ですが、さらに「個人的に必要なもの」にも注目してください。例えば、以下のようなアイテムです。
- 常備薬や処方箋
- メガネやコンタクトレンズ
- 赤ちゃんのためのおむつやミルク
- 女性用の生理用品
これらは、個々の状況に応じて必要なものが異なります。日常生活を想定しながら準備を進めてください。


女性目線の支援の必要性
災害時、女性特有のニーズに対応した支援が必要です。避難所では、女性専用スペースや授乳・着替えのプライバシーが守られる場所の確保が欠かせません。また、生理用品や乳児用ミルクといった物資の不足が課題となることも多いです。これらは、災害時に声を上げにくい問題でもあるため、日頃から女性の視点に立った備えを進めておくことが重要です。さらに、女性が避難所の運営や支援活動に関わることで、よりきめ細やかな対応が可能となります。地域社会全体でこうした視点を共有し、防災計画や備蓄品リストに反映していくことが求められます。
受援力の向上
支援を受ける力、すなわち「受援力」を高めることも重要です。自分たちでできることとできないことを把握し、外部からの支援を円滑に受け入れる体制を整えましょう。


情報収集の大切さ
災害時に正確な情報を得ることは、非常に重要です。特に最近ではSNSやインターネットを通じて情報を得る機会が増えていますが、情報の信頼性を見極める力が必要です。自分自身や家族、地域の安全を守るために、正しい情報を集めるスキルを身につけましょう。
まとめ
災害はいつ起こるか分かりません。だからこそ、普段からの備えが重要です。皆さまが日常の中でできることを考え、地域のつながりを大切にしていただければと思います。いざというときに支え合える社会を目指し、一緒に行動していきましょう。本日はありがとうございました。


講師:宮近 由紀子 さん
(みやちか ゆきこ)
- 特定非営利活動法人つなぎレンガ座/理事
- 一般社団法人佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)/運営委員
- 防災士

結びに
講演を通じて、宮近氏は「自分たちの命は自分たちで守る」「地域の絆が最大の防災力」という力強いメッセージを参加者に届けました。災害は突然やってくるものの、日頃の備えと地域の繋がりが、危機を乗り越える大きな力となることを、役職員一同、深く学びました。
災害支援に関するイベント情報
詳細は佐賀県CSO推進機構または佐賀市市民活動プラザ事業部までお問い合わせください。
佐賀市市民活動プラザ
つながる交流会「つながるチカラで、佐賀をもっと安全に~南海トラフ大地震が迫る今、私たちにできること~」
- 日時:2025年2月22日(土)13:30~16:30
- 会場:佐賀市市民活動プラザ 4階 会議室4-A+G/オンラインZoom
- 事例発表者
- 溝上 良雄 さん(佐賀県防災士会/代表)
- 根木 佳織 さん(公益社団法人 Civic Force/代表理事)
- 江口 康成 さん(一般社団法人 日本カーシェアリング協会 九州支部)
- 茶話会司会
- 鈴木 宣雄 さん(一般社団法人 佐賀災害支援プラットフォーム共同代表)
- 詳細URL:https://www.tsunasaga.jp/plaza/news/plaza-news/034908.html