2025年10月3日(金)、佐賀女子短期大学にて開催された「坂井ひでたかミニトークセッション」に、当法人代表理事の秋山翔太郎が参加いたしました。
当法人のほかにも、災害支援、国際交流、福祉、子育て支援など、様々な分野の第一線で活動する団体の代表者が参加し、それぞれの現場からの視点で活発な意見交換が行われました。


坂井市長講演
「日本一便利で豊かなまち、リッチ・ローカル 佐賀市」

セッションの冒頭、坂井英隆佐賀市長からこれまでの4年間の市政運営の振り返りと、今後のビジョンについて熱意のこもったお話がありました。
市長は、「動きます、佐賀市。」というスローガンを掲げ、「挑戦には失敗がつきものだが、それでも新しいことに取り組むことで新たな価値が生まれる」と、挑戦を奨励する姿勢を強調。佐賀市のビジョンとして「日本一便利で豊かなまち、リッチ・ローカル 佐賀市」を掲げ、成富兵庫重安の治水の歴史や、幕末に日本で最も早く近代技術を実装した佐賀藩の先進性を現代に活かし、「日本のモデル都市」を目指すという力強いメッセージが語られました。
特に印象的だったのは、「佐賀は常に課題の最前線にあり、だからこそ未来を切り拓く力を持っていた。現代においても、課題に最も近い地方からこそイノベーションを起こせる」という言葉です。人口減少という大きな課題に直面する今だからこそ、未来を見据えた投資として奨学金返還支援や子育て支援策を強化していること、そして市長自らが育休を取得した経験を踏まえ、社会全体の意識変革の重要性についても触れられました。
最後に、「『ともに高みへ!』をキーワードに、市民の皆様と一緒に希望ある佐賀を創っていきたい」と、参加者との協働への強い期待を述べられ、講演を締めくくられました。


多様なセクターとの意見交換
市長の講演を受け、参加者からはそれぞれの現場の視点に基づいた活発な意見が交わされました。


秋山は、当法人が佐賀市と同じ2005年10月に法人設立し、共に20周年という大きな節目を迎えたことを言及。9月28日に祝賀会を実施し、代表を交代したと報告しました。
佐賀市の市民活動について秋山は、とても盛んであると強調しました。特に、プロバスケットボールチーム「佐賀バルーナーズ」が掲げる「世界一地域課題が集まるバスケクラブになる」という理念を紹介。特にその象徴として、1,000人規模のファンが参加する『バルーナーズDAO(分散型自律組織)』は、まさに市民がスポーツをきっかけに主体的に社会課題解決に関わる新しい仕組み。認知症の当事者とファンが一緒に応援グッズを作り、チームを共に応援するという企画があったことを紹介し、様々なテーマや活動にスポットライトを当てながら新しい市民参加の形が生まれていると言及しました。
その上で、秋山は「市長の素晴らしい構想や熱意が、必ずしも市民や私達のようなNPOの現場に十分に伝わっていない場面がある」と指摘。市長の想いを市民に分かりやすく伝え、具体的な協働プロジェクトに繋げていく役割の重要性を述べました。
「私達、中間支援組織は、行政と市民活動をつなぐ『共通言語』を持つ「翻訳者(Translator)」であり、協働を推し進める「伝道師(Evangelist)」としての役割を担いたいと考えています。市長の想いが形骸化せず、本当の意味で市民協働につながるよう、お手伝いできることがあるはずです」


この秋山の問題提起に対し、坂井市長はご自身の経験を交えながら、市民協働の難しさと可能性について次のように応じられました。
「大変ありがたいご提案です。新しい取り組みは『法律は?』『前例は?』という話になりがちです。私が総務省や国交省にいた頃も、昭和の時代に作られた法律の解釈を巡って議論した経験があります」
「挑戦しようとすると、安定を求める声や反対意見も当然出てきます。しかし、そうしたハードルを乗り越えて新しい価値を生み出していくことこそ、これからの佐賀市には不可欠です。ぜひ皆さんには、私達が目指す方向性を市民の皆さんに伝えていただき、具体的な成功事例を一緒に作っていくパートナーになってほしいと思います」
このように、秋山の「翻訳者」「伝道師」という役割提起に対し、市長が「パートナー」として応える形で、行政と中間支援組織の連携の可能性が具体的に示されました。


結びに
今回のトークセッションは、行政のトップである坂井市長と、地域課題の最前線で活動する私たちが直接対話し、互いの想いやビジョンを共有できる大変有意義な時間となりました。
秋山が述べたように、佐賀県CSO推進機構はこれからも、市民、NPO、企業、そして行政の皆さまとの「協働」を推進するハブとしての役割を強化してまいります。
ご参加いただいた皆様、ならびにこのような機会を設けてくださった関係者の皆様に心より感謝申し上げます。


