2026年1月29日(木)、沖縄県南城市より「なんじょう市民活動支援センター(なんサポ)」の秋本康治センター長が、佐賀市市民活動プラザにご来訪されました。
今回の来訪は、翌1月30日に長崎市で開催される「九州NPO支援ネットワークミーティング」に秋本センター長が参加される行程に合わせ、わざわざ佐賀まで足を運んでいただいたものです。
秋本センター長と、当プラザ長(佐賀県CSO推進機構 代表理事)の秋山との出会いは、昨年11月に福岡市(アクロス福岡)で開催された「九州ブロック社会教育研究大会福岡大会」に遡ります。当時、助言者として登壇していた秋山が、別の分科会で事例発表をされていた秋本センター長をお見かけし、同じ市民活動センター・中間支援組織としての関心からお声がけしたことがきっかけで交流が始まりました。
当日は、秋山に加え、相談支援員の羽良、岡野が対応し、予定時間を超えて熱のこもった意見交換を行いました。
市庁舎内のオープンな拠点「なんサポ」
南城市は沖縄本島の南部に位置し、ハートの形をした地形が特徴的な人口約4万7千人の都市です。県都・那覇市からは南東へ車で30〜40分ほどの距離にあり、豊かな自然を残しながらも那覇市のベッドタウンとしての側面も併せ持っています。
秋本センター長が運営される「なんサポ」は、南城市役所の庁舎内に拠点を構えています。
行政と市民の心理的距離の近さ
当プラザのような独立した複合施設とは異なり、なんサポは市役所の中に窓口機能を有しています。市民が自由に使えるスペースの一角にあり、隣には就労支援の窓口があるなど、行政サービスと市民活動が物理的にも心理的にも近い距離にあるのが特徴です。
運営形態としては、施設の指定管理ではなく、市民活動支援業務や市民大学の運営業務といった「ソフト事業」の委託を受けて運営されています。
若者が集う「なんじょう♡市民大学」
特筆すべき取り組みの一つが、今年で16期目を迎える「なんじょう♡市民大学」です。これは単なる高齢者向けの生涯学習講座ではなく、「地域づくりの担い手」を育成するための本格的なカリキュラムです。
1年目は地域の現状を知り、仲間をつくるインプットの期間。2年目は実際に企画を立てて活動を実践するアウトプットの期間と、2年制で構成されています。
この市民大学について秋本センター長から「参加者の平均年齢は30代〜40代で、最も多い層は10代(大学生含む)」と伺い、実際の活動の様子を写真で拝見すると、対応した秋山、岡野、羽良からは一斉に「すごい!」「若い!」と感嘆の声が上がりました。
一般的に市民大学というとリタイア世代が中心となりがちですが、南城市では大学生や子育て世代が地域の課題解決に関心を持ち、主体的に参加している点は、私たちにとっても大きな衝撃であり、学ぶべきポイントでした。
地縁組織と新しい風の融合
意見交換の中で特に盛り上がったのが、沖縄特有の強力な「地縁コミュニティ(自治会)」と、新しい住民層との関わり方についてです。
伝統的な自治会と移住者
南城市には約80の自治会(行政区)が存在し、沖縄の伝統行事や相互扶助の精神が色濃く残っています。一方で、都市部に近い立地特性から新しく転入してくる子育て世代や移住者も増えています。
秋本センター長によると、伝統的な自治会組織は高齢化が進む一方で、新住民は「しがらみ」を敬遠しがちです。しかし、新住民の中には「地域で何かしたい」「ダンス教室やマッサージなどで特技を活かしたい」という想いを持つ人も少なくありません。
中間支援としての「つなぎ」
ここで「なんサポ」が果たす役割は、既存の自治会組織と、そこに入りきれない新しいプレイヤーとの「通訳」や「クッション」になることです。
例えば、自治会加入率の低下や担い手不足に悩む地域に対し、市民大学で学んだ若手人材や、地域外の専門スキルを持つ人をマッチングさせることで、新しい風を吹き込んでいます。
また、「ムラヤー支援」などを通じて、地域コミュニティの拠点である「ムラヤー(字・行政区の公民館等)」を図書館やこどもの居場所として活用するなど、地縁組織の機能を現代に合わせてアップデートする支援も行われています。
佐賀と南城のアプローチ
今回の対話を通じ、佐賀と南城、それぞれの中間支援のアプローチの違いと共通項が浮き彫りになりました。
都市規模と役割の違い
佐賀市は人口約22万5千人を擁する県都であり、当プラザはその中心市街地に位置しています。佐賀県は人口約78万人とコンパクトな県ですが、多くの都道府県に設置されている「公設の県民活動センター」が存在しません。そのため、佐賀市市民活動プラザは市の拠点でありながら、実質的に県域の中間支援機能も期待される広域ハブとしての役割を担っています。
一方、南城市は人口約4万7千人。沖縄県には別途「沖縄県NPOプラザ」等の広域支援拠点が機能しているため、「なんサポ」はより地域に密着した、顔の見える範囲での活動支援に特化できる環境にあります。
https://www.pref.okinawa.jp/kurashikankyo/katsudo/1004889/1004890.html
組織支援か、人づくりか
佐賀県CSO推進機構が運営する当プラザでは、NPO法人化の支援や、ふるさと納税を活用した資金調達、ガバナンス強化といった「組織基盤の強化」や「事業型NPOの育成」に強みを持っています。
対して南城市では、法人格の有無にはこだわらず、あくまで「地域コミュニティ」や「個人(有志)」の想いを形にすることに重きを置いています。
秋本センター長からは「佐賀の取り組みは、ビジネスライクでコンサルティングに近い精緻さを感じる。南城はもっと土着的で、人と人との関係性を編み直すコーディネートが主軸」といった感想をいただきました。
都市機能が集積する佐賀と、農村的コミュニティが色濃く残る南城。それぞれの土壌に最適化された支援の形があることを再認識する機会となりました。
異なる土壌、共通する課題
手法は異なりますが、「地域課題を解決するために、行政だけでは手の届かない部分をどう民間の力で補うか」という命題は共通しています。
佐賀県では、国連の自治体表彰受賞の契機となった「協働化テスト」や「提案型協働創出事業」などを経て行政とCSOの対等なパートナーシップが制度化されていますが、南城市でも行政からの相談(総合計画策定時のワークショップ運営や公共交通の利用促進など)をなんサポが受け、市民との対話の場を設計しています。
「行政の下請け」ではなく、行政・地縁組織・市民活動団体・個人の間に立ち、それぞれの言語を翻訳しながら最適解をデザインしていく姿勢に、中間支援組織としてのプロフェッショナリズムを感じました。


結びに
秋本センター長ご自身は茨城県のご出身で、移住者としての視点と、15年以上沖縄に根付いて活動してきた経験を併せ持ち、非常に客観的かつ情熱的に地域を見つめていらっしゃいました。
対話の中で、南城市の半島部など人口流出が進む地域の実情をお聞きした際、秋山が思わず口にしたのが「遠くの親戚より近くの他人」という言葉です。
若者が地域を出ていく中で、いざという時に頼りになるのは、遠くに住む血縁者よりも、今まさに隣に住んでいる住民同士(たとえそれが移住者や別荘所有者といった『近くの他人』であっても)の共助である――。この言葉に秋本センター長も深く頷かれていました。これは南城市に限らず、過疎化が進むあらゆる地域におけるコミュニティ支援の本質を突いたキーワードであると感じます。
翌日の長崎市での「九州NPO支援ネットワークミーティング」(秋山が事例発表登壇、岡野も同行)も含め、今回の交流は、九州・沖縄全体の中間支援機能の向上に向けて非常に有意義な時間となりました。
物理的な距離は離れていても、同じ志を持つ中間支援組織同士のつながりは、日々の活動の大きな励みになります。
秋本センター長、遠方よりご来訪いただき、誠にありがとうございました。
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