2026年3月8日(日)、SAGAアリーナ併設のBALLOONERS CAFEにて、佐賀バルーナーズの社会貢献プロジェクト「SAGA Take Action」の第8弾として、佐賀県男女参画・女性の活躍推進課と連携した特別企画「SAGA WOMEN’S CHALLENGE」が開催されました。
3月8日の「国際女性デー」に合わせて開催された本イベントは、ジェンダー平等や一人一人が活き活きと暮らせる社会づくりについて、参加者と共に考えるワークショップです。当法人の代表理事である秋山も、バルーナーズDAOのモデレーターとして写真撮影等の運営およびワークショップに参加いたしましたので、当日の様子をレポートします。


バルーナーズDAOとは
ファンや地域住民がクラブと協力し、地域課題の解決に持続的に取り組む新しいコミュニティです。「応援」にとどまらず、参加者一人一人が主体となって、スポーツの力でより良い社会を共創しています。
プロスポーツと社会貢献
スポーツをハブにした共創の場
ワークショップは、佐賀バルーナーズDAO事業部チーフの眞柴啓輔さんによる趣旨説明からスタートしました。「SAGA Take Action」は、バスケットボールの試合興行にとどまらず、プロスポーツチームの影響力を活かして地域と共創し、社会課題の解決を目指す月1回のアクションです。今回は「国際女性デー」にちなみ、性別の壁を越えた一人一人が生きやすい社会づくりをテーマに設定されました。

眞柴さんは、日本のジェンダーギャップ指数が諸外国(146カ国中118位)に比べて低い現状について、株式会社COTEN(コテン)のレポートを引用しながら解説しました。女性の管理職比率の低さや賃金格差、家事・育児負担の偏り(女性が男性の約5.5倍)などは、根深い「社会規範」に起因すると指摘します。
社会規範だけが古い時代のままアップデートされておらず、結果として女性が実力を発揮しにくい構造的な問題が生じていることが語られました。


多様な視点が交差する場
続いて、佐賀県内外で活躍するゲスト3名をお招きしたパネルディスカッションが行われました。
スポーツ界に残る見えない壁
笠原 美鈴 さん(SpoWell Lab株式会社 代表取締役CEO)
スポーツ領域で事業を展開する笠原さんは、スポーツ界もジェンダー課題が根深く、パリ五輪で出場選手の男女比が同数になった一方で、現場を支える指導者やトレーナーの多くが男性であるという現状を指摘します。笠原さん自身も、学生時代にスポーツの世界で仕事がしたいと考えた際、「女性なら栄養士」と勧められて資格を取得した背景があり、性別により特定の役割に偏りがちな実体験を語られました。


また、ご自身のキャリアとして、夫の海外駐在に同行したことで一度キャリアを手放した経験に触れました。しかし、海外の多国籍な環境では、「女性だから」といった属性ではなく、個人の意思や多様性が重視される空気感があったといいます。この経験から、「異なる空気感を知り(越境体験)、自律的にキャリアを築いていく」ことこそが自身のテイクアクションであるとし、心身の健康や自分らしさを大切にする現在の事業への想いを共有されました。


家族と働き方をめぐる現場から
山下 千春 さん(株式会社オヤモコモ 代表取締役)
佐賀市で親子の幸せをテーマに活動する山下さんは、自身が「男の子が望まれる」男性優位の家庭で育ち、「なぜ母は自分を持てないのだろう」と疑問を抱いた経験が起業の原点だと語りました。「女の子だから大学に行かなくていい」といったレールを敷かれ、母が依存的で幸せそうに見えなかった環境を見てきたからこそ、「親も子どもも、どちらも大事にされる社会であってほしい」という強い衝動があったといいます。


社会に対しては、女性がのびのびと活躍できる環境整備だけでなく、家庭内で男性が柔軟に育児や家事に参加できるよう、会社の仕組み自体を変えていく必要性を強く訴えられました。山下さんのお子さんが不登校になり対応が必要になった際、経営者であるご自身は柔軟に動けた一方で、会社員の夫は休むことができなかったという実体験を交え、「毎日8時間絶対働く」といった硬直化した就業規則が男性をも苦しめていると指摘しました。子育てを外注するだけでなく、家庭内での夫婦のあり方が次の世代の子どもたちに大きく影響すると語られました。


固定観念を乗り越えるために
大串 美佳 さん(佐賀県男女参画・女性の活躍推進課 課長)
大串美佳さんは、日本に根付いていた「家父長制」からもたらされた固定観念が、現在も家庭や職場において世代を超えて連鎖している現状を問題視しました。学校教育の現場では男女混合名簿など性別で区別しないことが普通となっている一方で、家庭に帰ると男性はテレビを見てスマホを触り、女性が家事や食事の準備をしているというケースも見られます。育休制度があっても「取るだけ育休」になってしまう男性もいるなど、無意識の固定的な性別役割分業が依然として残っているところがあります。


大串さんは、生理や更年期の症状といった女性の健康課題を抱える女性に対し、周囲が「いつものこと」などと流さずに思いやる気持ちを育むことが、家庭や職場で大切であると強調しました。誰かのサポート役としてではなく、一人一人が構成員として「どうありたいか」を選択できる社会の実現に向けた県の取り組みが紹介されました。
また、2026年7月25日(土)には、「SAGA WOMAN EXPO 2026(サガ・ウーマン・エキスポ2026)」を東京や大阪など都市部以外で初開催する予定であることも発表し、多様な生き方を後押しするイベントへの期待が高まりました。


「半径5m」から始めるアクション
グループワークでの活発な議論
パネルディスカッションの後は、参加者同士で「半径5mで自分にできるアクション(Take a Action)」をテーマにグループワークを実施しました。付箋を使ったブレインストーミングでは、多種多様な意見が飛び交いました。
当法人代表の秋山も交えたテーブルでは、NPO法人の現場におけるリアルな声が共有されました。33名の従業員との面談を通じて、多くの女性スタッフが「扶養の範囲内に収めたい」「子どものことで休んでしまうのが申し訳ない」と働き方に制約や負い目を感じている現状が浮き彫りになりました。これに対し、「Wワークをやれてもいいのではないか」「企業のジェンダーギャップ指数を県の入札要件に反映させる」「若手社員が子育てしながらも長く働けるモデル事例を作る」といった、組織や社会の仕組みに踏み込んだ意見も交わされました。


それぞれの日常から踏み出す一歩
ある参加者からは、「私が受け継いでしまった古い性別規範を娘たちに受け継がせないようにしたい。だからこそ、ざわざわしながらも、あえて夫にご飯作りをお願いし、夫婦の対等な関係を少しずつ築いていく」といった家庭内でのリアルな葛藤と決意が共有されました。
また、「『女性らしい』『男性らしい』といった枠にとらわれず、自分を楽しむ」「ジェンダーによらず、一度は一人暮らしを経験してみる」など、日常の意識を変える具体的なアクションも多数寄せられました。「私は(I do)」を主語にして主体的に行動することの大切さが、参加者全員の共通認識として共有されました。


バルーナーズDAOの新たな一歩
女性モデレーターの参画と広がり
イベントの終盤には、社会課題の解決を共に目指す「バルーナーズDAO」自身のアクションが発表されました。これまでDAOの意思決定や進行を担うモデレーター陣は男性の比率が高かったため、今後は意識的に女性の参画を促すことが報告されました。既存のモデレーターであるkiramitanさんに加え、新たに辻さんがモデレーターとして加わることが紹介されると、会場からはこれからの活動への期待を込めた温かい拍手が送られました。


ミモザが彩るアリーナの取り組み
SAGAアリーナのコンコースでは、佐賀県による啓発ブースが設置されました。自分らしい未来へエールを贈るメッセージボードを手に撮影しSNS発信を行った来場者へ「ミモザの花」をプレゼントするキャンペーンなどが実施され、試合観戦に訪れた多くのブースターにも「国際女性デー」の意義を広く伝える機会となりました。


結びに
非日常空間であるアリーナで、立場や関係性の壁を越えてフラットに語り合い、個人の意識から社会構造までを深く考えた本イベントは、一人一人自分らしく活き活きと暮らせる佐賀の未来に向けた大きな一歩となりました。
佐賀県CSO推進機構は、SAGA Take Actionプロジェクトをはじめとする、地域や企業、行政と連携した社会貢献活動に今後も積極的に取り組んでまいります。一人一人の「半径5mのアクション」が波及し、より良い社会のうねりとなるよう、引き続き地域づくりをサポートいたします。


お問い合わせ先
特定非営利活動法人佐賀県CSO推進機構
(CSO経営支援事業部)
- 〒840-0826 佐賀市白山二丁目1-12 佐賀商工ビル7階
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