2025年12月26日（金）、佐賀市市民活動プラザにて、株式会社佐賀バルーナーズ DAO事業部チーフの眞柴啓輔さんと、SpoWell Lab株式会社 代表取締役CEOの笠原美鈴さんによる対談が行われました。
去る12月19日（金）、当法人の佐賀市市民活動プラザ事業部が開催した社会課題別講座「佐賀バルーナーズが仕掛ける新しい社会貢献」に笠原さんが関心を寄せられたことをきっかけに、当法人代表理事の秋山がセッティングを行い、実現したものです。
スポーツビジネスの最前線で「DAO（分散型自律組織）」を通じた地域貢献を進める眞柴さんと、科学的根拠に基づいた「健康づくり」を社会実装しようとする笠原さん。異なるフィールドで活躍する両氏が、「佐賀」というフィールドでどのような化学反応を起こせるか、熱い議論が交わされました。
スポーツ×健康の共創
異業種が交わる「対話の場」
今回の対談は、単なる名刺交換に留まらず、互いのアセット（資産）をどう活用して地域課題を解決するかという、非常に具体的な「作戦会議」の様相を呈しました。
笠原さんは、スポーツが持つ「求心力」や「熱狂」に着目。「健康行動（検診や運動など）はどうしても『やらされ感』が出がちですが、スポーツの楽しさや家族との時間をフックにすることで、自発的な行動変容を促せるのではないか」と語られました。
スタートアップとの連携
眞柴さんは、バルーナーズが推進する社会貢献プロジェクト「SAGA Take Action」において、大企業とのCSR連携だけでなく、ベンチャーやスタートアップ企業との柔軟な連携の可能性を示唆しました。
「スタートアップは、予算を出して広告を出すという従来型よりも、互いのリソースを使い合い、新しいビジネスや価値を共創（コ・クリエーション）するパートナーシップが適している」と述べ、SpoWell Lab株式会社との連携に高い親和性を見出しました。
DAOがつなぐ新しい絆
ファンから「運営」へ
話題は、バルーナーズが取り組む「DAO」の仕組みにも及びました。
従来のファンクラブが「サービスを受ける側」であるのに対し、DAOは「共に運営し、価値を創る側」に回る仕組みです。
眞柴さんは、「DAOメンバーは単にチケットやグッズが欲しいだけでなく、クラブを通じて『地域や社会の役に立ちたい』という貢献意欲を持った方々が多い。このコミュニティの熱量が、新しい社会貢献の原動力になっている」と説明しました。
健康データを価値に変える
このDAOの仕組みに対し、笠原さんは「健康づくりの分野でも応用できる」と共感。
例えば、アリーナ来場時に健康チェックを行ったり、特定の健康行動をとったりしたファンに対し、DAOのトークンや特典を付与するといったアイデアが飛び出しました。
「楽しみながら健康になり、それが地域やチームの応援にもつながる」という、三方よしの循環モデルについて意見交換が行われました。
佐賀モデルの実現へ
地域課題解決の「手触り感」
対談の終盤では、具体的な連携アクションについても話し合われました。
2026年2月に武雄市で開催予定のスポーツ健康フェスへの協力や、アリーナでの実証実験の可能性など、構想は多岐にわたります。
両氏に共通していたのは、数字だけのKPI（重要業績評価指標）ではなく、参加者が感じる「手触り感」や「ストーリー」を大切にしたいという想いです。
官民連携の新たな形
行政や医療機関、そしてプロスポーツチームとスタートアップ企業が連携し、楽しみながら社会課題（健康・医療費削減など）を解決していく。そんな「佐賀モデル」の構築に向けて、大きな一歩となる対談でした。
結びに
当法人代表理事の秋山は、本年9月よりバルーナーズDAOのモデレーターとして参画しています。バルーナーズやDAOについてはまだまだビギナーですが、これまでのDAOの流れから「社会との接点」をつくる役割として、その活動の輪に加わることとなりました。
モデレーターとしての活動を通じ、県庁各課やIT企業との連携、さらには「こどもの居場所」づくりなど、DAOが単なるファンコミュニティを超え、ボランティアサークルのような熱量を持って社会課題に向き合う姿を目の当たりにしてきました。
今回のSpoWell Lab株式会社との対談は、そうした「共創」の土壌に、新たに「健康」と「スタートアップ」という種が蒔かれた瞬間とも言えます。
佐賀県CSO推進機構は、DAOという自律分散型のコミュニティがスポーツの枠を超え、市民の健康づくりや地域ビジネスの創出にまで波及していく未来を見据え、今後もこうした企業・団体間のコーディネートを通じ、地域の新しい価値創造を支援してまいります。
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