皆さんは最近、いつ遊びましたか。
そう問われて、きらきらした目で趣味について語れる方は大丈夫かと思います。
しかし、「子どもが遊ぶのを見てはいたけれども…」と困惑される方、「遊ぶってそんなヒマないよ、子どもじゃあるまいし」と笑い飛ばしてしまう方、「最近子どもが遊べる場所がなくなりましたよね…」といきなり社会問題に目を向ける方、無意識のうちに日常に押しつぶされていませんか。
子どもが遊ぶことは肯定しても、「遊び」そのものについて肯定できない大人はきっと多数派。
まして新型コロナウイルス感染症の影響で「遊ぶこと」に背を向けた人も少なくないと思います。
そんななか、私たちは「遊び」に全力を注ぐCSO、ノビトワークスの代表 原田さんにお話をうかがいました。
「遊ぶところがない」――本当に?
佐賀県東部を拠点に活動するノビトワークス。
活動内容について問うと、代表の原田さんは「みんなを遊ばせること」と精悍な顔にさわやかな笑みを浮かべました。
大学では生涯スポーツについて学び、関連するNPO法人に就職して生涯学習関連施設で働いていた原田さん。
仕事には愛着があったものの、多忙のため「我が子と遊んであげられない」状態だったそうです。
その後、仕事を離れて鳥栖に引っ越し、当時2歳くらいお子さんと心置きなく遊ぶことができるようになり、はりきってあちこち出かけていって、ふと気づいたといいます。
「同じ世代の人たちと出会わない」
都会にはない豊かな自然を前に「こんなに遊ぶ場所があるのに」と不思議に思いながら周囲に訊ねてみると「遊ぶところがない」という返事。
「じゃあ知ってもらおう」
原田さんは周囲の人に「一緒に遊びに行きましょう」と声をかけたそうです。
遊具がなくても、単なる芝生だけの公園でも遊べると原田さんは言います。
ただ、遊び方を知らないだけだと。
幼児と保護者の野遊び教室「森のようちえん ちぇすと」
ノビトワークスの活動の原点で、原田さんのライフワークとなっている「森のようちえん ちぇすと」。
自然体験活動を軸とした北欧発祥の教育プログラム「森のようちえん」をベースとし、佐賀県では唯一団体登録されているそうです。
内容は、県東部の自然のなかで月1回、親子で野遊び体験をするというもの。
当初は1年度10家族限定、現在は15家族限定で募集。
年会費制で体験毎の募集はせず、また、募集を見逃すと次の年度まで参加できないとのこと。
今のスタイルにしたのは、無料で毎日イベントをしても「いつでもいける」となってしまい、結局参加しなくなってしまうのと、毎回遊ぶメンバーが変わってしまうと毎回「初めまして」からスタートすることになってしまうため。
1年間同じメンバーで、子ども同士遊び、親同士でお互いの悩み相談。
そして、自然体験が「特別」なことではなく「普通」のことになるよう心がけているそうです。
なので原田さんは虫嫌いを隠さないとのこと。
苦手なものは「苦手」とはっきり言う。無理に好きにならなくていいし、好きな子は好きでいい。
「お父さんお母さんが苦手としているものを子どもたちに強要する必要はないし、子どもだって親が引け腰で得体の知れないものに突っ込んで行きたいとは思いませんよ」と原田さん。
…確かに、ですよね…。
「遊び」の価値
「みんなを遊ばせること」を生業とする原田さんは、「遊び」の種類の否定はしません。
「TVゲームも遊びのレパートリーが違うだけ」と原田さん。
コロナ禍で旅行のような非日常的な「遊び」が難しい今、隙間時間を埋める消費的な「遊び」が主となってしまうのは仕方のないこと。
気になるのであれば「日常的な遊びの種類を増やすこと」で解消できると言います。
ちなみに「ちぇすと」はコロナ禍で参加率がよくなっているそうです。
「日本では『遊び』の価値が低いですが、『遊び』は衣食住の次に必要なものです」と原田さん。
何かとストレスフルな今、大切なのは、自分の好きなことを、好きな場所で、好きな時に、好きな人と一緒になって遊ぶこと。
原田さんは言います。
「ノビトワークスはみんなを遊ばせるために活動しています。東部周辺の人、安心してください。これから僕らが皆さんを遊ばせます!」
ノビトワークスでは「ちぇすと」の他にもさまざまな遊びで皆さんを巻き込もうとしています。
「遊んでみようか」、そんな気分になった方はぜひ、ノビトワークスの活動を覗いてみてください。