障がい者福祉という分野について、皆さんはどれほどの関心をお持ちですか。
日頃より当事者の方々に接する機会があって関心を持っているという方も少なくないと思います。
ですが、その一方で、この社会でともに生きていくにあたって支援が必要だというのは知っているけれども、実感としては持っていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
佐賀県東部を中心に、障がい者支援の各種事業を行い、かつ、障がいを持つ人々や、取り巻く人々について忌憚ない視点から周知する啓発活動を行うNPO法人しょうがい生活支援の会すみかの代表理事 芹田洋志さんにお話をうかがいました。
“日曜日”の居場所
特別支援学校での放課後児童クラブ、障がい当事者同士や家族のための居場所事業にバリアフリーの居場所事業、障がい者の外出活動や長期休暇の活動――
すみかの障がい者支援事業は多数、多岐にわたります。
そして、そのいずれも「必要」に根差したもので、ボリュームはあれども過不足ない内容となっています。
たとえば「ぴあCAFE」。
障がい当事者同士で情報交換や悩み相談ができる居場所。
少人数での集まりで、他言無用の仕組みをつくり、安心して集える工夫をされています。
たとえば「放課後児童クラブ“ゆう”」。
中原特別支援学校内に設けられた学童保育。
小学校ではあって当たり前のように感じられる学童保育ですが、特別支援学校で、その生徒・児童が安心して過ごせる学童保育として、保育士、教員、看護師等の有資格者がスタッフとして入り療育ではなく「保育」を行っています。
また、学童保育である“ゆう”はコロナ禍で放課後等デイサービスが休業するなか、行く場所がなくなった子どもたちの受け皿にもなっているそうです。
すみかの事業のお話をうかがうなかで散見された「居場所」。
すみかではもともと障がい者の「余暇支援」を中心にされていたとのこと。
平日の昼間は外出する環境が整ってきていた一方、休日は何の支援もなく家から出られない方がたくさんいらっしゃったなか、それで集まって何かできたらと始めたのが「相談会」。
相談に乗るのももちろんですが、休日に家に閉じこもってじっとしているしかないという状況を解消するためのものでもあったそうです。
障がいを持った人々が集えるというだけではなく、積極的に外へ出ていくための役割も担った「居場所」。
法人の事業としては決して大きくなくても、大切にしている部分だと芹田さんはおっしゃっていました。
障がい者支援において大事なこと
「障がいの有無を問わず誰もが自己実現できる社会づくり」「24時間365日このまちで安心して暮らせるシステムづくり」をミッションとして掲げるすみか。
ご自身も障がい当事者として15年以上すみかの活動を続けてきた芹田さん。
開始当初に比べ、障がい者福祉サービスは確実に増えている一方、どれだけ当事者の役に立っているか、どれだけ寄り添った支援ができているかについては疑問だといいます。
また、社会的な活動をする障がい当事者も増えていますが、個々の活動に留まり、障がい当事者として社会全体に対する働きかけが十分ではないのではないかと感じています。
「私が動いているのを『芹田だから』と見られてしまっている。これではダメだな、と」
今後は障がい当事者にターゲットを絞り、エンパワーメントしていくことを考えているという芹田さん。
「そうすることによって課題を持って一緒にやっていくという人が増えてきてほしいと思っています」
また、今、余暇活動から始め、小さな活動を積み重ねていた原点に帰りつつあると感じているといいます。
「実は『2回目だな』ということを、初めてのことだと思ってやっています。2周目に入りました」
と芹田さんは笑みを浮かべました。
特定非営利活動法人しょうがい生活支援の会すみか
さがCSOポータル > CSOデータベース
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